軽度者(要支援1.2、要介護1)に対する福祉用具の例外給付について
平成18年4月の介護保険法改正により、福祉用具貸与に対する給付規制がかかり介護ベッド(特殊寝台)や車椅子等の福祉用具について介護保険でレンタルする事が出来なくなっていました。
しかし、現行の規制では介護保険の適応外となった方々の中に、福祉用具のレンタルが必要であるにもかかわらず介護保険の給付が認められないという事例が数多く、介護保険改正からわずか1年という異例の速さで介護保険の見直しが図られました。
平成19年4月より、現行の例外給付に加え、新たに下記条件の軽度者に対し例外的に介護保険での福祉用具のレンタルを認められる事となりました。
車椅子については平成19年の改正に項目がなく、現行の例外給付が適応されます。
詳しくは「軽度者(要支援1.2、要介護1)に対する福祉用具の例外給付について(車椅子編)」をご覧ください。
例外給付の対象者
Ⅰ | 疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によってまたは時間帯によって、頻繁に告示で定める福祉用具が必要な状態に該当する者 |
Ⅱ | 疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに告示で定める福祉用具が必要な状態になることが確実に見込まれる者 |
Ⅲ | 疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から告示で定める福祉用具が必要な状態に該当すると判断できる者 |
福祉用具が必要となる主な事例内容
事例類型 | 必要となる福祉用具 | 事例内容(概要) |
Ⅰ 状態の変化 | 介護ベッド | パーキンソン病で、内服加療中に急激な症状・症候の軽快・増悪を起こす現象(ON・OFF現象)が頻繁に起き、日によって、告示で定める福祉用具が必要な状態となる。 |
床ずれ防止用具 体位変換器 |
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移動リフト | ||
介護ベッド | 重度の関節リウマチで、関節のこわばりが朝方に強くなり、時間帯によって、告示で定める福祉用具が必要な状態となる。 | |
床ずれ防止用具 体位変換器 |
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移動リフト | ||
Ⅱ 急性増悪 | 介護ベッド | 末期がんで、認定調査時は何とか自立していても、急激に状態が悪化し、短期間で告示で定める福祉用具が必要な状態となる。 |
床ずれ防止用具 体位変換器 |
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移動リフト | ||
Ⅲ 医師禁忌 | 介護ベッド | 重度の喘息発作で、介護ベッドの利用により、一定の角度に上体を起こすことで、呼吸不全の危険性を回避する必要がある。介護ベッドの必要性を医師からも指示されている。 |
介護ベッド | 重度の心疾患で、特殊寝台の利用により、急激な動きをとらないようにし、心不全発作の危険性を回避する必要がある。介護ベッドの必要性を医師からも指示されている。 | |
介護ベッド | 重度の逆流性食道炎(嚥下障害)で、介護ベッドの利用により、一定の角度に上体を起こすことで、誤嚥性肺炎の危険性を回避する必要がある。特殊寝台の必要性を医師からも指示されている。 | |
床ずれ防止用具 体位変換器 |
脊髄損傷による下半身麻痺で、床位変換器ずれ発生リスクが高く、床ずれ防止用具の利用により、床ずれの危険性を回避する必要がある。床ずれ防止用具の必要性を医師からも指示されている。 | |
移動リフト | 人工股関節の術後で、移動用リフトにより、立ち座りの際の脱臼の危険性を回避する必要がある。移動用リフトの必要性を医師からも指示されている。 |
※ 介護ベッドとは介護保険法での特殊寝台の事を表しています。
※ 介護ベッドにはマットレス等の特殊寝台付属品を含みます。
例外給付の手続き
ア.「医師の意見(医学的所見)」に基づいて判断され、
イ.サービス担当者会議などを経た適切なケアマネジメントの結果を踏まえていることを
ウ.市町村が確認している
ものであれば、例外給付を認める
※ 例外給付の範囲が見直されたといっても軽度者における介護保険の適応が認められる福祉用具の規制が改正されたわけではありません。あくまでも例外的措置であり、例外給付の適応範囲は極めて狭く、給付に対する手続きも煩雑である事から区分変更(介護度を変更する手続き)を行なうほうがスムーズな場合もあります。
※ 介護保険を使っての福祉用具のレンタルは保険者(都道府県)が指定した福祉用具貸与事業者、または介護支援専門員(ケアマネジャー)にご相談ください。